Inagaquilala

秘密への招待状のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

秘密への招待状(2019年製作の映画)
3.9
リメイク作品ということだが、もとになっているのは、デンマークのスサンネ・ピア監督の「アフター・ウェディング」(2006年)。スサンネ・ピア監督は直近だとアメリカで撮った「バード・ボツクス」(2018年)は観ているが、この2006年の作品は未見だ。ストーリーを読んでみると、この新作である「秘密への招待状」は、2人の主人公が、男性から女性に入れ替わっただけで、ほとんど変わっていない。しかし、この男性から女性に主人公を変えたことは、かなり作品そのものの印象を変えたのではないかと思っている。

インドで孤児たちを支援しているミシェル・ウィリアムズが、さらなる資金を得るためにニューヨークに出かけるのだが、その際のインドの描写が印象的だ。インドの村を俯瞰するアングルから始まり、それがやがてクローズアップされていき、1人の人物にたどり着く。もちろんそれがミシェル・ウィリアムズなのだが、導入部としては一気に物語に引き込まれていく。それと対比的に描かれるのがニューヨークでメディア会社を経営する、ジュリアン・ムーア扮するもう1人の主人公だ。もとの作品ではインドとデンマークだったらしいが、このインドの村とニューヨークというのは、よりコンテラストが鮮明になる。

やがてこの2人の関係が、ムーア扮する女性社長の娘の結婚式で明らかになっていくのだが、ストーリーとしての流れもとても自然だ。この辺、リメイク作品であるゆえの、再検討が重ねられているに違いない。邦題では「秘密への招待状」となっているが、この秘密も徐々に明らかになっていくため、最後まで興味は途切れない。最後にまた最初と同じ俯瞰シーンが登場するが、そこにはきちんと「変化」も捉えられている。風景描写をうまく取り入れた完成度も高い作品だ。
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