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マリッジ・ストーリーの3104のレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
3.8
冒頭の「互いの長所の供述」から心が持っていかれる。ありきたりで幸せそうな夫婦生活を短いカットで観せていき、一見この幸せが続く・続いているかと思いきや、かぶせられるランディ・ニューマンによるやや過剰な音楽が“そうではない今”を暗示する。
そこから物語は変に煽ることなく静かに、でも確実に「離婚(の終わり)」に向けて進んでゆく・・。

離婚を扱った作品は『クレイマー、クレイマー』『最高の離婚』など優れたものがいくつかあるが、それらに似ている部分もありながらどこか違う、雑に括れば「今風」な描き方とも。ただ全体のタッチはさりげなく、でもしっかりと“クラシカルな造り”が保たれていた。唐突な変調や無理のある“いびつな描写”などが挟まれず、結果とても観やすく故に胸に沁みいる。終盤のナイフ~息子が「読む」シーン~靴ひもなどは特に。

『アニー・ホール』に似ている?なるほどわからなくはない。NYからLAに移るしね。あそこまで神経質にも自己憐憫にも終始せず、でも(特にアダム・ドライバーの)やるせない状況や心情をきっちり捉えている部分がさらに胸を打たずにはいられない。
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