イトウモ

WASP ネットワークのイトウモのレビュー・感想・評価

WASP ネットワーク(2019年製作の映画)
3.2
すごい面白い話なんだけれど、いまいちパッとしない映画
「カルロス」の続きの話なんだろう

ソ連崩壊で危機にさらされたキューバのカストロ政権
ハバナからほど近いマイアミに亡命したキューバ人が親米反政府組織を立ち上げていくのだが、同時にこの組織に侵入してテロを未然に防いでいたキューバ政府の「WASPネットワーク」という反米スパイ集団がいたという話。
資源の枯渇したキューバの重要な産業が観光業で、テロリストがビーチやリゾート、観光地を狙ってキューバの観光を壊滅させてを治安の悪い国にしてしまおうというのも興味深い。

逸話、登場人物が多く話がぶつ切りで、淡々と進んでいくのだが、
祖国を裏切った売国奴扱いを国では受けるが、実は政府の下で働くスパイたち、よりもその複雑な身分、キューバ、アメリカそれぞれの国の待遇に振り回される妻たちが魅力的。

スパイを勝手にやめてキューバに帰った夫に、スパイの事実さえ知らずに捨てられたアナ・デ・アルマス。久々に再会した夫に、何年も前に黙って出国したことを詰問するペネロペ・クルス。彼女たちの表情を見ていると、アサイヤスは女優の表情を撮るのこそ上手いのだなと思う。