「目を閉じてもー赤い色が見える」
2016年までの4年、内戦が激化するシリアの都市アレッポで、監督ワアド・アル=カティーブさんが、生きた証にと自分の家族や出産を通して撮影し続けたシリア内戦の記録映画。
そこには脚本もストーリーも何もない。
あるのはただ目の前の現実のみ。
どんなに泣こうと叫ぼうと逃げようと爆弾は容赦無く人の頭や四肢を吹き飛ばす。
大義名分を持った無差別殺人が戦争だということを改めて認識させられる100分。
そしてそこには生きて、生きて、生きてと涙浮かべ祈る自分がいた。
2016年の12月にこの紛争は政府軍のアレッポ制圧で終結するが、今この時間もパレスチナ自治区ガザ地区、ウクライナでも同じことが起こっている。
原題は「For Sama / サマへ」
サマとは監督ワアド・アル=カティーブさんと医師である夫ハムザ・アル=カティーブさんとの間に紛争中に生まれた娘さんの名前。
意味は現地の言葉で「空」
戦闘機や爆弾の無い美しい空が広がる世界が来るようにという願いが込められている。