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痛くない死に方のbutasuのレビュー・感想・評価

痛くない死に方(2019年製作の映画)
2.0
ちょっと思想の押しつけが強すぎてキツかった。「病院で管を繋がれまくって痛く死ぬくらいなら、家で穏やかに死ぬ方が人間の尊厳が保たれる」という、その思想自体には何の異を唱えるつもりもない。しかし、この映画はとにかくこの思想を賛美するだけで、問題点はさして描かない(主人公が未熟だったから、という描き方なので、実質は全く描いていないと言ってもいい)し、逆に入院することでのメリットも描かない。この映画ではとにかく入院することが悪として描かれるので、主人公が患者家族に「救急車は呼ばないでください!」みたいな事を言うシーンが平然と出てくる。問題提起としては非常に意義のある内容だと思うので、もう少し偏りなく真摯に描いてほしかった。

そしてこの思想を肯定し説得力を持たせようとしているのが後半の末期がん患者の話なのだが、そこがあまりにフィクションライクで嘘くさい。末期がん患者は明るくジョークばかり言う「イケオジ」(演じるのは宇崎竜童)、末期がんなのに死ぬ寸前まで超元気で、ちっとも痩せないしやつれない。看病の大変さもまるでなく、ただ横になっているだけなので本人も家族も普通に楽しそう。ここにもっとリアリティを持たせないでどうするのか。

もったいない映画だったなぁ。
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