映像がめっちゃキレイ。「幼な子～」の時と同じ、少し重ためで、青のかかったような質感のある画面に映える夏帆は美しかった。
幼な子～の時は執拗に浅野忠信を追いかけていたカメラが今回は妻夫木君を追わない。この監督は、誰を、何を見てほしいのかをカメラで表す人だ。ラブシーンの時であっても、カメラが追いかけていたのは夏帆で、特に夏帆が左薬指にはめていた結婚指輪だった。ラストのラブシーンとの対比。彼女の表情も、積極性も、指輪一つで変わったことを表す描写は良かったと思う。
けど、う～ん、最後まで、誰にも共感できないまま時間が過ぎてしんどかった。旦那は自分勝手すぎて引いたけど、浮気をしてるわけでもなさそうだし生活自体は申し分ない感じ。小鷹が言うように、「ホント、なんで結婚したの？」である。忘れられない恋なんて誰にでもある。子供まで持っておいて、自分の人生の軸を自分で決められないのに満足もできず、ふわふわと流されてしまう塔子にイライラ。いや、こういう女いっぱいいそうだけど。
それでも、家庭を捨て、子供を捨て、ボロボロになるラスト１０分だけは、とっても良かった。ようやく塔子自身の人生が動き出し、彼女の中の何かにスイッチが入った音を聞いた。「お、始まるぞ！もっとやれやれ」と思っていたら終わってしまって残念。。こっから先をもっと観せてほしかったよな～。
この「夏の終わり」的な展開といい、「男の人は１０００年前から変わらないじゃないですか」的なセリフといい、原作者なのか脚本家なのかに猛烈な瀬戸内寂聴信者がいるとみたｗ
もういっそ、みんなで出家しようよ。久々に夏の終わり、読んでみよう。
私はキャラとしては小鷹が一番好き、ダンゼン小鷹推し。もうちょっと登場シーンが欲しかったな。柄本佑、いい存在感でした。
