健一

地獄の黙示録 ファイナル・カットの健一のレビュー・感想・評価

4.8
サービス業をしています。 😊

新型コロナへの感染、体調不良、人間関係が原因での退職など、現在 通常6人で行う業務を3〜4人で行っております。
12時間以上の長時間労働(若い子は48時間の人も)、休憩も殆ど無し。
心身共にボロボロになって家に帰れば『バタンキュー』😅。
翌日、前日休んだ従業員に向かっていつも私はこう言ってます。
『昨日一日を映画に例えるなら 地獄の黙示録 だった。』と。 🥵

BSで放送していたので録画して鑑賞。

公開40周年を記念してコッポラ自らが再編集&デジタル修復した最終版。
オリジナル版(153分)は昔DVDにて鑑賞。
特別完全版(202分)は2002年2月に劇場にて鑑賞済。
当時のキャッチコピーは
『戦争。アメリカ。』
9・11同時多発テロを受けアメリカがアフガニスタンに侵攻している真っ最中だったこの頃。
この たった二文字 に昔も今も続いている人間の愚かな行為、平和への儚さが込められている。
リバイバル上映にも関わらず当時('02年2月)一番大きな系列で全国公開されるという偉業を成した。

さて本作。🪖
オープニングに流れるドアーズの『ジ・エンド』。
実は私は本作を見るより先にこの曲の虜になっていたので衝撃度は人一倍だった。

『朝のナパームは格別だ!』

撮影前も撮影中も本編も。
完全に『イカれている』作品。
みんなどんどんイカれていく・・・
スタッフも、キャストも、監督も。

・本来ストーリーテラーのウィラード大尉はハーヴェイ・カイテルが演じていたが『マーロン・ブランドより顔がドギツくてどうする!』という事で撮影2週間目にクビ。
・新たに起用されたマーティン・シーンも撮影中盤になって心臓麻痺でダウン。
一命は取り留めたが危険な状態だった。
・撮影地(フィリピン🇵🇭)に大型台風が猛威を振るいセットが全て崩壊。
また最初から作り直し。
・報道カメラマンを演じたデニス・ホッパーは麻薬で『ラリったカメラマン』を演じるはずが 本当に麻薬を吸って中毒に。
しかも周りのスタッフにも麻薬をすすめてスタッフも麻薬中毒に。
・主役のカーツ大佐を演じたマーロン・ブランドは撮影地に来るまでセリフを全く覚えていない。
撮影中も覚えてないからアドリブ連発で全く撮影が続かない。
・ついに監督コッポラも心労で倒れてしまう。
なんだかんだで17週間だった撮影予定期間は最終的には 61週間 と大幅に延びた。

よくぞ これらの困難を乗り切って この大作 を仕上げたと思う。

クレジットのトップはマーロン・ブランド。
つまり『カーツ大佐』が本作の主役‼️
劇中 ほとんど姿を表さずウィラード大尉が手にしている写真での姿のみ。
なのに作品の中で『彼の存在』がどんどん大きくなっていく この演出のうまさ。
最後の方で姿を表す時には観客はもうすでにカーツ大佐にマインドコントロールされている。

ここが地獄なのか・・・
ここまでが地獄だったのか・・・

たった数分間のマーロン・ブランドの圧倒的な存在感に全て喰われてしまう。

今回の「ファイナルカット」ではデジタルの技術を駆使してとんでもないクリアな映像に仕上がっている。
太陽光、ナパームに燃える森、波打つ河。
芸術的に美しくなっている。
見終わった後の絶望感。現代の生活に戻ってこれた解放感。
『映画』のすべてがこの中に詰まっている。

地獄の奥地で『統一の協会』を築き上げたカーツ大佐。
彼の理想や思想はまだ奥地で生きているのかも・・・

世界の終焉は今。 Apocalypse Now。



劇場公開時 2002年 2月。
「地獄の黙示録 特別完全版」
上 野 宝 塚
💺522席
客入り 3割位?

ハーヴェイ・カイテル版の「地獄の黙示録」も是非 観てみたかった。

親子だから当然なんですが劇中のマーティン・シーンは若い頃のチャーリー・シーンにそっくり。😅

ウィラード大尉が沼の中からゆっくりと顔を出す本作のジャケットにもなってるこのシーン。
私を含め 誰もがお風呂の中で一度は真似しているはず。😅
健一

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