旅するランナー

地獄の黙示録 ファイナル・カットの旅するランナーのレビュー・感想・評価

4.8
【ベトナム戦争泥沼紀行】

ベトナム戦争の混沌混乱混迷。
そこから生まれる狂気を、とんでもない熱量でフィルムに焼き付けた、コッポラの執念。
間違いなく映画史に残る戦争映画だろう。

このファイナル・カットはサード・バージョンとなるが、これまで僕が観てきたオリジナル劇場公開版と比べると、
・ウィラード大尉(マーティン・シーン)にサーフボードをかっぱらわれた、キルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)が執拗に「返さんかい!」とヘリで捜査する
・フランス人入植者たちの浮世離れしたような議論
などのシーンが加わっているように思います。
どうでもよいエピソードではありますけど、カオス感が更にアップしているように感じます。

それにしても、ドアーズ「The End」のオープニングから、ワルキューレの騎行、プレイメイトたちによる慰問、船による不気味なジャングル紀行、そしてマーロン・ブランドの奇行まで、まさに闇の奥への旅に道連れにされる気分になります。
ほとんどが早くお家に帰りたいと思い、一部はその中毒性の深みにはまるのではないでしょうか。