回想シーンでご飯3杯いける

ルディ・レイ・ムーアの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ルディ・レイ・ムーア(2019年製作の映画)
4.2
予想以上に熱い作品だった。エディ・マーフィ久々の主演作にして、プロデューサーとしても携る力作。Netflixで良くある配給権だけを買い取った作品ではなく、企画段階からがっつり作り上げた正真正銘のオリジナルだ。

物語は1970年に活動したミュージシャン兼コメディアン兼俳優のルディ・レイ・ムーアの活躍を描いている。正直この人のことを良く知らないし、何故今この人なの?と思っていたのだが、作品を観て納得。エディ・マーフィのスタイルの原点になったのではないかと思われるマシンガン・トーク。初期のラッパーにも影響を与えたと言われる音楽+トークの妙。これはある意味Netflix版「ボヘミアン・ラプソディ」であり、その「ボヘミアン~」とは正反対の徹底したお下劣路線でぶっ放す、アンサー作品でもあるのだと思う。

ミュージシャンであったルディが音楽に合わせてジョークを交えるスタイルを確立する様子を描いた前半と、自身が主演する映画を作る後半で構成されているのだが、特に後半が面白い。映画作りの素人だったルディが人柄とアイデアで仲間を集め、B級なんだけど自分達黒人が心から楽しめる映画を撮影する。その姿が本当にめちゃくちゃで下ネタだらけなのに最後には何だか泣けてくるという、、、、黒人版「カメラを止めるな!」と言えなくもない。


■■ここから下、本作を楽しむ上で僕が発見したコツのようなもの。

本作はエディ・マーフィーの吹き替えでお馴染みの山寺宏一が参加しているのが売りなんだけど、前半の音楽とジョークを融合させるシーンではラップのルーツとなる喋りまで日本語に吹き替えている為、「韻を踏む」というルディの個性が伝わってこないのが残念。

いずれにせよ彼のジョーク自体は大してストーリーに関わってこないので、一連のシーンは敢えて字幕で鑑賞して、エディ・マーフィの軽妙な英語の響きを楽しむぐらいのスタンスで軽く観るのがベストだと思う。