あるぱか2世

ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画のあるぱか2世のレビュー・感想・評価

3.6
日本でいう「はやぶさ」のような奇跡の実話をもとにした物語。自分もチームの一員になって、ミッションの成功を見守っているかのような気分になる。

しかし、この映画がテーマとした「ミッション」を、近年のインドが抱える諸問題と絡めて考えると、どこか複雑な気持ちになる。

インドでは、ナレンドラ・モディが首相に就任後、ものづくりの世界拠点化をめざす「メイク・イン・インディア」や、「ヒンズー至上主義(ヒンドゥー・ナショナリズム)」にもとづく国内の一体化が図られてきた。
一方で、女性に対する性暴力が後を絶たないことや、ヒンズー以外の宗教を「排除」するかのような政策が国際社会からの非難を浴びている。

この背景をふまえると、わかりやすい女性活躍のシナリオを採用し、ムスリムのキャラクターを登場させたことは、
「インドは女性に理解のある国であり、他宗教との「調和」をはかられている」と映画をとおしてアピールしているかのようにみえてくる。

また、チームの最大の動機が「国のため」であることや「敵国」(たぶんパキスタン)と戦って負傷した兵士を登場することからも、インドが全面展開するナショナリズムの姿勢がみてとれた。

エンディング間際にはモディ自身の映像が流れる。しかし、この「ミッション」自体は前任のシン内閣時代に立てられたものであり、まるでモディが自らの手柄にしているかのように映る。

結局、映画自体はおもしろかったけれど、「インドすごいでしょ!」アピールがあまりに強すぎたかな…。
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