はちみつ食べたい

アフター・ヤンのはちみつ食べたいのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
3.7
近未来の家族の形、新しい技術とアナログの融合が素敵な1本。ドラマチックな展開はないものの、繊細で美しく、設定や世界観もよく、非常に叙情的だ。

大切な人が亡くなった時、その人にとって自分の存在はなんだったのか、その人は幸せな人生だったのか気になるのではないだろうか。そして、断片的としてもその人の見た景色や世界を見れるとしたら、どれほど嬉しいだろうか。
その考え方も、幸せという価値観自体も間違いなく非常に人間的であり、残された者のエゴだ。記録と記憶は違う。しかし、観ていてその人間的な側面を愛さずにはいられない。これもまた人間的で人のエゴなのだろう。

物静かで映像でそっと語りかけてくるストーリーは、じんわりと沁み渡るような心地よさだ。芸術色の強い作品のため、好みは分かれると思われるが、その美しく繊細な映像美には誰もが魅せられるだろう。