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人生、ただいま修行中のギルドのレビュー・感想・評価

人生、ただいま修行中(2018年製作の映画)
3.4
【仕事に誇りを持ちたい人に向けたドキュメンタリー】
看護師を目指すフランスの看護学校の実習に密着したドキュメンタリー映画。

テーマは異なるけど雰囲気的に「いろとりどりの親子」と似ていて、初のミニシアターの旧・伏見ミリオン座で一番最初に見た映画が「いろとりどりの親子」だったので懐かしさを感じながら見ていました。(配給会社自体も同じなんですよね。)
テーマとして短い期間で看護師を目指す実習生たちの1.集合研修、2.現場実習、3.フィードバック面談の構成で進む感じで実習に参加する人々の多様性やフランクさが心地良くて素敵に感じました。

ドキュメンタリー映画にしては授業感もなくて実際の生のやり取りをありのままに映しているので、一見すると平坦で人を選ぶ作品に見えるけど伝えるポイントが厚かましくないところが良かったかな。
例えば看護師の職業意識について伝えるシーンで「看護師は 「医師の言うことを聞く」立場の職務ではない。医師は「医療のプロ」 看護師は「看護のプロ」であって、看護の質に関しては医師に意見するのは当然だから高い自立心を持ってね」と教えるところが印象的でした。
これはナイチンゲールのエピソードでも似たような内容があったし、教える先生方の誇りと家族的な親しみがあったのが見てて良かったです。


いろんな出身・年齢・環境を持った男女が手を汚しながら夢を追いかけて先生との間にフランクさはあるけど真面目な時は真面目に伝えてくれるし、ありのままに伝えるからこそ最後のフィードバック面談で得た経験も納得できるものばかりでした。ただ意外なところで終わってしまって実習生たちの行く末を見たかったというのが率直な感想でした。
前述した通り一見すると平坦で地味目な撮影の中にメッセージをふわっと伝えるフォームの映画なので少し見る人を選ぶかもしれません。
ただし、その中で見える仕事に対する誇りや死生観を感じながらの仕事は一見の価値があると思います。
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