私にとっては遠すぎる存在で、知識も関心も皆無で名前以外何も知らないと言っても過言ではない前ローマ教皇ベネディクト16世の退位と現教皇フランシスコ即位の物語。とにかく映画としてのクオリティが圧倒的に高く、ほぼ知識ゼロの私でも釘付けになってしまうほど面白い作品でした。
本作で描かれる退位から即位までの経緯も当然知らなかったため、作品を観るまでは、ドロドロとした内争をエンタメ的に描いた作品だと思っていました。が、内容は2人の信条とその背景にある歴史的背景、そして変わりゆく関係性を描いた、ドキュメンタリータッチのかなり骨太な作品でした。
なんと言っても、2人のローマ教皇を演じたアンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスの演技が素晴らしく、本物のローマ教皇のような威厳と品格を感じられたが故に、本作がよりドキュメンタリー的でリアリティをもった映画になったのかもしれません。
テーマ的に我々の日常からは縁遠く、歴史等の予備知識がないと難しそうな内容ではありますが、ちょっと茶目っ気のあるシーンも挿し込まれていたり(特にエンディング)、音楽も有名ポップスが随所に使われていたりと、本来重厚なテーマであるにもかかわらず、かなり観やすく作られているので、ローマ教皇と自分との最初の接点?を作る導入としても大変オススメの作品です。
己の強い信念と覚悟の中で退くベネディクト16世と、人々に寄り添うフレンドリーなフランシスコのやりとりに魅了され続けた2時間でした。