髭ゴリラ

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者の髭ゴリラのレビュー・感想・評価

3.6
これまでのクレヨンしんちゃん映画とは
一線を画した作品。

後半の展開は「ジブリ映画」を想起させられた。

「ユメミーワールド」「ロボとうちゃん」を親子でこよなく愛してきたが、それら同様の内容を期待して観に行ってはいけない...

これは正直、こどもは汲み取り切れるのだろうか...

単刀直入にいうと...

こどもの感想は
「なんか面白かったけど...ん〜」

私は「もう一度観ないとメッセージ性を汲み取れないかも...また観たい」

はじめてクレしん映画を観たあと
数日考えるほど感慨深かった。

「落書き」というテーマに
いい意味でブレずに
悪い意味で執着しすぎたような作品。

そして、「家族愛」「友情」という
クレしん伝統を逸脱して

ぶっ飛んだ世界観の中にも
「現実」と「現代」を直視した上で

安易な称賛と
安易な非難を風刺しているように思う。

そして、あからさまな「正義」「悪」といったわかりやすい設定すらも排除している。

ラクガキングダムに入って戦っていくのかと思っていたが、春日部に落とし込んで展開していくというまさかの
「インディペンデンスデイ」的設定。

これまでただただぶっ飛んだ世界観と躍動感の中
子どもに分かりやすい笑いと、大人しかわからないシュールな笑いを提供してきたが

まさかの自衛隊出動など
これまで何故無かったのかというほど
現実的であり、起伏に頼らない展開。

昔のクレしんを思い出すようなダークなトーンもあり。

しかしながら
中盤までの展開が地味すぎる...

ラクガキから生まれたキャラクターが
地味でキャラが立たず、
しんちゃんとの絡みも盛り上がらない。
ギャグも、子供も大人もハマらないような
滑り方。
ブリブリザエモンはストレス。
伏線のためかな?と思うも特に大きく
影響はない。

「今回は駄作だったかぁ...」と
なかば諦めながら鑑賞していたが

後半は怒涛のシリアス込みの展開に
のめり込むように鑑賞。

そしてラストは号泣していた。

これまでの映画では
しんちゃんと家族
カスカベ防衛隊
どちらかに頼っての展開だったが

見ず知らずのシングルマザーの男の子に
スポットを当てるなど
観る側の視点や感情も世界観を取り込んでいる。

そして相変わらずの躍動感は
唯一無二。

これは語り合いたくなるクレしん映画。

もう一度観たい。
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