MASH

デイヴ・シャペルのどこ吹く風のMASHのレビュー・感想・評価

4.5
アメリカに蔓延る根深い人種問題はもちろん、ジェンダーの多様性、女性差別、MeeToo運動、ショービジネスの闇などにかなり突っ込んだダーク笑いになっている(特に『The Bird Revelation』)。セクハラや性犯罪までも話題にして笑いにしていく。時には「おいおいそれは言い過ぎだろ…」と観客がなってしまうような瞬間も作りながら、即座にそれを笑いに変え、尚且つ観ている者に考えさせる。笑ってしまうほど酷い世の中で自分は何ができるのかということを。

そして最後にはこれ以上なく完璧なオチが待っている。その計算され尽くしたネタ、空気を支配する力は他のコメディアンとは比べ物にならない。単に過激な内容を持ってくるだけではこれはできないだろう。彼自身がその問題に対し理解を示し、そこでの自分の立ち位置を明確に提示できているからこそ、過激な話題でも笑いにできたり真剣な空気に変えられるのだろう。何から何までデイヴ・シャペルにしか作れない時間だ。
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