ドキュメントなので勧善懲悪のカタルシスとか、大きな見せ場からの大逆転とかはなく、いろんな場面を繋ぎ合わせるように進んで行きます。
ここにストーリー性や脚色を付けた作品が『新聞記者』ということになるんですね。
(作者も望月さんだし)
ドキュメントなので当然望月さん目線で描かれています。
望月さんサイドの描写である以上、別のサイドから見たら別の事実が見えてくるのかもしれません。
でも、この作品はこの作品で一つの事実を映し出していると思います。
気持ちは望月さん寄りで見てしまいますし、
「大変そうだな」
「タフな人だな」
と少し離れた目で見つつも、やはり望月さんの取材対象の肩を持ちたくなるし、敵対するように描かれている対象には憤りを感じます。
でも、この作品が言いたいことは
「ね？政府、官僚って腐ってるでしょ？」
「○○新聞ってヒドイよね」
なんかではなく、「望月さんはこういう中で記事書いています」ということなんだと思いました。
望月さんが文春の記事に反論したように、政治家や官僚の人たちもこの作品を見て
「全然違うよ」と言いたいかもしれないし。
穿って見たり、疑ってかかって見ると、いろんな解釈もできたりで、なんかちょっと怖くなったりもする作品だと思います。
でも改めて考えるピースを提示してくれる映画だと思いました。
