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MONOS 猿と呼ばれし者たちのmistyのレビュー・感想・評価

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)
4.8
世界のどこかでゲリラ部隊として訓練された少年兵たちは外界からも隔絶され、どこか楽園のような日々を過ごしていた。ひとつのミスをきっかけに楽園は終わり、増幅する狂気が心を破壊する。
息を呑む圧倒的な自然の中で暴力に体が染まる。まさに「今」の『地獄の黙示録』。

年端もいかない少年少女達が過ごす場所、それを映す映像はあまりに美しく、全員性を排除したような中性的外見なのに思春期の性の匂いがする。
楽園のような日々が一転、戦場へと、そして個々の倫理の崩壊、狂気の発露へと転げ落ちていく展開にはこちらの理性や秘めた狂気すらも試されているかのよう。

とにかく映像が圧倒的で、ほぼ濁流と言ってもいい川や豪雨、密林に巣食う大量の虫、生き抜く過酷さ全てを詰め込んだようなカットの数々。そこに流れる音楽はまるで敵の襲来を告げる笛のように甲高く響く。
映画は必ず終わるものだけど、目を逸らせない、いつまでも映像が、音が、焼き付いて離れない。
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