MasaichiYaguchi

リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.9
「オアシス」は好きでよく聴いていて、衝撃的な解散後も動向はチェックしていたので、10年以上亘ってリアムを撮影してきたチャーリー・ライトニングが共同監督を務めたこのドキュメンタリー映画を観ていると、改めてリアムが兄ノエルに対する思い、その長く深い確執、それが影を落とした「オアシス」解散後の活動や心の軌跡が伝わってきた。
本作にはもう一人の兄ポール・ギャラガー、母ペギー・ギャラガーも登場して家族から見たリアムも浮き彫りにされていて、その視点が新鮮だった。
リアムと兄ノエルとの修復出来ない程の仲違いに関しては、何が決定的な原因だったのか、そしてどちらが悪いのかというのは、たとえ事情通のファンであっても当人同士ではないと分からない部分があると思う。
ファンの間には未だに「オアシス」の再結成を望んでいる声があることも知っているが、本作を観る限り、それは難しいと痛感する。
映画でも語られているが、どんなに存在を否定しても解散後のリアムは常にノエルを意識して歩んできたと思うが、それにしてもその兄との仲違い、それに伴う突然の解散、それを跳ね返すような新たなバンド活動、それも上手く行かずに挙げ句の果ては離婚、多額の借金と「泣きっ面に蜂」状況でどん底まで落ち込みながら、本人も言っているが“潰れず”によく続けてこれたものだと強く感じる。
ここに至るまでの経緯が、本作では“バックステージ”を覗くような感じで映し出される。
心身共にダメージを受けたリアムを支えたのは、マネージャーで実質的なパートナーであるデビー・グウィザーや実兄ポールの存在が大きかったと思うが、やはり本人の音楽への思い、ここで終われないという思いが強かったのではないかと思う。
その本人の思いは、今までの「オアシス」のファンだけでなく、「オアシス」をリアルタイムで知らない若い世代の心に共感をもたらしていく様子が描かれていて胸が熱くなる。
リアムの来日公演がいつ実現するか分からないが、また多くのファンを魅了して欲しい!