ろく

100億人―私達は何を食べるのか?のろくのレビュー・感想・評価

3.2
もう10月ですよ。

それなのにいまだ暑い。そして急にくる豪雨。もう30年に一度の気候なんて聞き飽きましたよ。僕らも疲弊するけど作物も。なのに地球は80億人に到達。僕の子供のころは45億人だったのに。もうすぐ100億。

でも地球は人口が倍になっても増えるわけない。大丈夫ですか。みなさんうすうす思ってません?恐竜が増えすぎたあと急に絶滅しているのを知ると人間も「急に絶滅する」んじゃねえって僕は思ってしまう。

なのに経済成長は~。実質賃金は~。たしかに周りの国がそれでも「成長」しているからしないわけにいかないんだけどみんな我先に崖に向かってダッシュしている感じありませんか。僕は少し怖いですよ。

この映画は決して映画としてよくできているわけではないの。はっとするようなショットもないし、見せる映像もない。映画としてはダメですよ。それでも見て考えちゃうよねってなる。

特に人口増→食糧不足→生産性あげるために無理をする(無機質肥料の大量投入や遺伝子組み換え、さらには鶏を早く育てるために満腹感を減少させる薬の投入など)というフルコンボは見ていて僕を暗澹とさせるものになる。とっくに「地球」は終わっているんじゃないの。あとはいかに延命させるかで。企業が介入するから「生きる」のロジックより「資本」のロジックになってしまう。企業は「自分が生きる」ことしか考えてない。そして並行して農業の軽視がおきる。もう少し食べること、生きることだけ考えてもいいのかもしれないよね。

問題は長期と短期なんだ。結局みんな「このままではまずい」ことは分かっているんだけどその手前で「自分が生きている間はそれは先送り」ってなる。今って問題を常に先送りしているだけじゃない。でもマルクスも言っていたけど地球環境にどうにもまずい問題があった場合それは資本主義もたちゆかなくなるんだ。そのときになってからでは遅いんだ。でもそれは「私/僕」が生きている間はないんじゃないってそんなことばかり考えてしまうの。だから今の楽しいことはやりましょうね。イルミネーションで電気沢山使っていいじゃない。お店では食べきれないくらい食べてもいいじゃない。やっぱりたまには高級なごはんが大事だよ。

それをすこし改めようがSDGsなんだけどこれもまた資本の闇に取り込まれている。結局資本主義に勝てないんだよな。即効性のある副作用の強い薬みたいなものなんですよ。

この映画を見て「工場みたいな水耕栽培を見て」「人造肉の造成所を見て」「無様に太ったブロイラーを見て」「同じ魚なのに大きすぎる鮭を見て」

本当に大丈夫なのって思ってしまう。そして策なんかないんだ。

※マルクスは資本主義が終わるときは①地球環境に問題があったとき②とんでもない格差が現れたとき③仕事のやりがいが奪われたときと言っている(あと一つ忘れた)。どれも当てはまりません?僕は怖いんですけど。

※人口問題はほんとまずいんじゃないか。それでも生まれた子を「間引き」せよとは言えない。そして国家としての「差異」があるから「少子化」も問題になる。難しいよね。じゃあ人口減らせばいいかって言えば日本は国力がなくなり確実に他国の後塵を拝するようになってしまうし(あと福祉の問題はさらに不味い)。だからと言って増え続けたら最後にぽんってはじけてしまいそうな気がする。日本じゃなくて世界が。地球が。
ろく

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