ユンヒへのさくのネタバレレビュー・内容・結末

何も前情報知らずになんとなく気になって鑑賞。北海道の風景だけじゃなく、雪の静けさや室内の暖かさといったような冬の美しさを見せてくれて感謝感謝感謝。登場人物が私が理想とする優しさや落ち着きに包まれた人達ばかりだから、全編ひたすら愛……！という感じだった。

ストーリーは非常にシンプルで、若い頃に離れ離れになってしまったけど互いにまだ想いあってる2人が、周りの「おせっかい」をきっかけに再会するという話。というか、「再会」の部分はほとんど写されず（それもよかった…）、そこに至るまでの2人と周りの人々が淡々と描かれる。過去に何があったのかは描かれず、登場人物の些細な動作や表情やセリフから読み取っていくのは面白かった。
主人公2人の再会より、「おせっかい」2人の対面のが個人的には気に入っている……。

過去に何があったのかが最後のユンヒの手紙で語られるけど、彼女がどんだけ辛い日々を送ってきたのかというのを想像すると、あの手紙は非常にショッキングだった。娘にとっては「いい叔父さん」との微妙な距離感も納得。

本作は当然ながらユンヒが主人公で、時が止まってしまっていた彼女が「再会」をきっかけに進み出す姿は、前半の全てを諦めたような彼女の表情を見てきたからこそ感動した。一方で、隠すことで「うまく」生きてきたジュンは、今後どんなふうになるのかという部分は描かれておらず、妄想が深まる。

ところどころでレズビアン映画と呼ばれていて、なんとなく腑に落ちないけれど、まあそれが私が関心を持ったきっかけでもある。同性愛者が生きづらい社会が舞台だからこそ描くことができるラブストーリー（＝レズビアン映画）と考えると、それは娯楽に昇華するんじゃなく社会を変えるべきだろと思ってしまうけど、本作はただただ美しい風景や人々が印象に残っているので、レズビアン映画と一言でまとめたくないな、と思ってしまう。

みんな、雪道を歩くの上手やなあ指導とかあるんかなとか思ったら、中村優子さんも木野花さんも雪国出身なんだな。