てるる

ユンヒへのてるるのレビュー・感想・評価

ユンヒへ(2019年製作の映画)
4.4
「声もなく」「さがす」と立て続けに面白いけどモヤる作品だったので、3本目にコレを偉んで良かった。

小樽の雪景色の寒々しさに相反して心温まる物語だったよ。

母ユンヒにあてられた手紙を読んでしまったセボム。
彼女はお母さんの過去に興味を持ち、行動を起こす。

とにかくセボム‎の行動がめちゃくちゃ可愛くてニマニマしちゃう🤭
でもね、タバコはあかん!やめなさい!
演じるキム・ソヘってガッキーに似てません?

彼女の行動はある意味で短絡的ではあるけど、いつも寂しそうな母親への愛情でもあり、彼女の人生を立て直す手伝いをしたかったんだろうな。

ユンヒとジュンの関係性や、何があったのかは断片的にしか語られない。
しかし2人の今の生活や顔を見るだけで、辛いことがあったのは察しがつく。

特にユンヒの過去が予想外に酷くて軽い衝撃を受けた。
一昔前の韓国で同性愛の人達がどういう目にあってきたのかが伺い知れる。

だからこそ2人の演技が重要で、キム・ヒエと中村優子は素晴らしい演技で役を全うしていた。

ジュンの叔母さんや、セボムの彼氏、ユンヒの元旦那など脇役たちも魅力的。
元旦那とユンヒの終盤でのエピソードは泣ける。

望まぬ結婚で苦しんでいたのはユンヒだけじゃなくて、元旦那も一緒だったんだな。
たぶん、優しい人なんだろう。
あのクソ兄貴だけは腹立ったけど。

あ、あとジュンの動物病院にきてた女の人がちょい可哀想だったかな。
でも奇しくも演じた瀧内公美さんがその日のタモリ倶楽部に出てて(バラエティ初出演)、楽しそうにサバの刺身当てしててほっこりした。

韓国映画ってバイオレンスだけでなく、こういう人間ドラマも上手いよなぁ。
号泣はしないけど、静かに静かに心に染み入る秀作でした。

ああ、小樽で聖地巡礼したいくらい好きな作品でした。
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