kou

大丈夫であるように ─Cocco 終らない旅─のkouのレビュー・感想・評価

3.0
《現在進行系の傷口》
Coccoという人は見たすべての問題を背負って生きているように見える。世の中で起きている問題、そして過去に起こった悲惨な事故、事件。それらを彼女は背負って、そして歌を通じて何かを変えようとしているように思った。とても力強いながらも、どこか危うく、その存在感を見せつけられるドキュメンタリー映画だった。

初めてCoccoという人の存在を知った時、すごい人が出てきたなと思った。その歌唱力もそうだが、メッセージ性や存在感を含めてとてもオリジナリティあふれる存在だと衝撃だった。そんなCoccoという繊細で感受性の高いアーティストを、ドキュメンタリーとして映像を撮り、思いを語らせるという事はおそらく想像より難しい事だっただろう。しかし是枝監督は見事にその当時の彼女の思いを切り取っている。そしてそれは、同時に多くの日本の、世界の問題を切り取ってもいるのだ。

彼女が咲かせている花は、「傷口」に咲かせる花だと是枝監督は言う。数々の、全国の傷口に、Coccoはできる限り花を咲かせようとする。ただただ彼女の歌声に、行動に圧倒されることは間違いないと思う。こうして何かに向き合う事、真剣に問題に向き合っていく姿に感動した。多くの出来事は今もなお、起こり続けているのだ。
kou

kou