いかにも荒唐無稽で漫画的な設定と脚本だが、映画のかなり序盤でこの作品のリアリティラインはここでーすという提示があるので、そういうものだと理解したうえで楽しめる作品だった。暴力描写はけっこうエグいので、観る人を選びそうなところはあるけれど…
ネット社会の風刺的な要素も多少ありながら、深い読後感を残すというよりは、あまり考え込まずにガンアクションやデスゲームを存分に楽しんでくださいよ、命の扱いは軽いですがこれはそういうリアリティラインの作品ですからね、といわんばかりの振り切った演出で、製作者達のスタンスが明快でいいなと感じた。
主演のダニエル・ラドクリフの俳優としての力量はいわずもがな、主人公の役割を誠実に担っており、キャラクターアークもしっかりと描出されていてさすが。
が、ハリー・ポッターのパブリックイメージからの脱却もしくは進化のために、必要以上に無茶苦茶な役のオファーばかり無理して受けているのではないだろうか… という、映画本篇とは全く関係のない雑念的な心配の感情が湧いてしまった。
個人的に注目しているナターシャ・リュー・ボルディッゾが、この作品では脇役ながらも次期スターになりそうな存在感を発揮していて、とても良かった。
https://www.shojitaniguchi.com/cinemareview