MasaichiYaguchi

癒しのこころみ~自分を好きになる方法~のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.3
自分自身が未体験だったこともあって、セラピストとは如何なる職業なのかということを松井愛莉さん主演の本作で初めて知った。
劇中で「心と身体はつながっている」という台詞が出てくるが、セラピストとは「お客様の笑顔と健康のために癒しを提供するプロフェッショナル」。
物語は夢を持って広告業界に就職したものの、パワハラをはじめとした激務で心が折れてしまったヒロイン・一ノ関里奈が、ある切っ掛けでセラピストという職業と出会ったことから本格的に幕を開ける。
セラピーのお店というと、マッサージや整体を施術されるところというイメージが近いが、セラピストにとって施術の技術力だけでなく、“会話力”が重要だということが本作から伝わってくる。
映画ではそのことを“お客様に寄り添う”という表現をしている。
里奈が新人セラピストとなって、店長の鮫島、エースのさやか、人情派のパート店員・尚子に囲まれながら店で施術をしていくなかで、劇団EXILEの八木将康さん演じる元プロ野球選手の碓氷との出会いによって大きく変わっていく。
里奈にしろ、この碓氷にしろ夢を持って仕事をしていた中で挫折し、その“傷み”を抱えている。
本作は、施術する側とされる側の立場の2人が試行錯誤していく中での成長や再起を描いていく。
ただ映画として成り立たせるためとはいえ、その“二人三脚”の描き方がお店と顧客という関係からすると“過剰サービス”で現実味が薄くなっている。
新型コロナウイルス「第2波」への警戒と対応が叫ばれている昨今、様々にストレスや疲れを覚えた人が多いと思うが、そういったものを一人で抱え込むのではなく、本作で描かれたセラピストに心と身体を癒してもらうのも良いかもしれない。