ロビン

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のロビンのレビュー・感想・評価

3.8
昨年劇場で観た「MINAMATA-ミナマタ-」にも相通ずる作品かなと。

名曲「カントリーロード」の舞台であるウェストバージニア州で発生した家畜の牛の大量死に端を発し、元々企業側の弁護人であったロブ・ビロットが義憤に駆られて超巨大企業に立ち向かう物語。

マーク・ラファロ演じるロブ・ビロット弁護士は、アメリカの超巨大企業デュポンが発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、しかもその物質を大気中や土壌に垂れ流し続けた疑いを突き止める。
やがてロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏み切るが、超巨大企業を相手にする法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていく。。

映画の描写を観る限りでは、全ての自分の時間をなげうって巨大企業との法廷闘争に挑んでいるロブ・ビロット弁護士は聖人の域に達していて尊敬の念しか湧かなかったし、マーク・ラファロも好演していた。
妻役のアン・ハサウェイも非常に抑えた演技で好演していた。
そしてアメリカであんな家庭も顧みない仕事人間の夫を、なんだかんだ支える奥さんもめちゃめちゃ素晴らしい。
奥さんも元弁護士というのもあるとは思うけれど普通なら、とっくに離婚されてると思う。

環境汚染の原因はPFOAと呼ばれる化学物質。
元々は第二次世界大戦中に戦車等の防水塗料として開発されたもので、これを戦後「テフロン加工」としてフライパンをはじめとする生活用品に転用したデュポン社は、PFOAが人間やその他の生物にとって奇形や癌を誘発する等有害であることを知りながら隠蔽し続けて莫大な利益を得てきた。
そして今や世界の99%の生物の身体は大なり小なりPFOAに汚染されているという事実に驚愕する。

超巨大企業の前では政府さえもそちら側にまわる。
ロブの「自分の身は自分で守るしかないんだ」というセリフが胸に響く。。

それと実在の人物もラストに登場。
奇形児として産まれた彼が元気にくらしているように観えて少しほっとした。 。

【ネタバレ】
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如何せん実話ベースなので、超ブラックな巨大企業のデュポン社が判決によって鉄槌がくだされるというような描写は一切ない。
むしろ悪は益々栄えるというか、世の中結局巨大な権力を持つ者には勝てないんだという終わり方で全くスッキリしない。
むしろモヤモヤが残る。

事実に基づく作品には良くあることだけれど、ラストちょっとモヤッとした感じで終わってその後の展開や結末をエンディングにメッセージで観る側に伝えるというパターンが良くある。
本作においても同じなのだけれど、本作においてはそこはサラッとエンディングで流さないでしっかりと描写して欲しかったなと。
そうしたらもっとスッキリできて胸アツで終われた。
デュポン社は合意を反故して、病気とPFOAとの関連がある住民全員に賠償金を払わず、住民一人一人と裁判で争うことにする。
まったくもって汚いクソな連中。
それでもめげないロブは一人一人の裁判で闘い、3人勝訴して賠償金を勝ち取ったところでデュポン社は折れて全員に賠償金を払うことになる。
どんどん賠償金の値段も上がっていったので、さすがにデュポン社側も観念したのだ。
ここんとこの描写観たら絶対に胸アツ間違いないし、メチャクチャスッキリしたに違いない!
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