ロシアとの戦争が終結した2025年のウクライナ。戦争後遺症に悩まされるセルヒーは戦友の自殺、勤め先の鉄工所の閉鎖など苦しい現実が降りかかる。そんな中戦争での遺体回収のボランティアをする女性カーチャと出会う物語。
2022年に始まり、今もなお続くロシア・ウクライナ戦争。本作では2014年に起きたクリミア侵攻から始まった戦争が10年で終結という世界観で展開。本作の製作が2019年で現在がまさに2025年。まるで今後のウクライナを予言しているかのような内容です。
1つ1つの場面はワンカット撮影。大きく場所が変わらない限りは全てその手法。余計な編集を挟まないのでその場の空気感が更に上がっているものと感じます。
戦争が終わっても普通に戻れない辛さ。友人の死、職もままならない。不幸が相次ぐ様子も心が痛みますしリアルなものとして伝わってきます。
それも監督の拘りで、プロの俳優さんではなく実際に戦争経験者や遺体回収のボランティアをしている人をそのまま起用していたのも大きかったでしょう。
監督の前作である「リフレクション」もちょっと無機質な感じ。本作でも似たような雰囲気ですし、戦争そのものの無情さを表しているかのよう。娯楽性はありませんが、今の時代だからこそ伝わるものがある映画だと思います。