さよなら僕のマクガフィンたち

ジャスト 6.5 闘いの証のさよなら僕のマクガフィンたちのネタバレレビュー・内容・結末

ジャスト 6.5 闘いの証(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「俺が警察に入ったころに麻薬中毒者は100万人だったが、長年にわたって逮捕して刑を執行しつづけたあげく,今じゃ650万人だ!」

初のK’s Cinemaで鑑賞でした。

イラン映画で、いわゆる警察による麻薬王の逮捕劇を描いた作品かと思いましたが、後半はむしろ留置所を舞台として映画が展開される。

緊張感はあれど極度の緊迫感にはならず、コミカルにもなりすぎないが、ただその留置所内での薬物依存者の地獄絵に圧倒される。子供に罪を被せて自分は助かろうとさる男、携帯を持ち込んでたかる男。なんだろう、なぜか麻薬王のナセルが可愛くも見えてくるというか。

刑事も刑事。子供が殺された恨みのおるハミド。やりすぎなところもあるし、印象的な最初の逃走劇で麻薬を拾うシーンね。あれが後々疑われることになり、同僚を留置所の地獄部屋に入れようとするサマド!

ナセルの最後は共感はしないが、彼もまた単に家族に負の連鎖を抜け出させるための行動だったのではないか。
トップはいなくなったが薬物逮捕は増える一方。結局徒労に終わった感。怒涛の死刑までの逮捕劇の儚さを感じてしまう傑作。