2019年”Metri Shesh Va Nim”。イランの麻薬組織vs警察。「スカイフォール」に匹敵するアバンタイトルシークエンス。しかもこの話がしっかり後半まで効いてくる。ガサ入れ→逃亡→売人調査→意外な隠し場所→次の仲介人→元締めの住居、とシーン構築は、麻薬や脱税や密造酒モノの標準。しかしながら場所や人の描写が、もう異文化そのものでいちいち目を見張る。土管に住んでるスラム、美女に吐かせるためにそこら中のキャビネからファイル出して机に山積みハラスメント、男たちの肥満具合、留置所まえの乱暴な検査、留置所の中(こんなん「網走番外地」以来!)、便所で電話、追加の人々さらに追加で立ってる、障害者の父とその息子、ザツにそこらに手錠で拘束。ヒゲ面のおっさんばっかりなので、青と緑のシャツで区別したり、なにげにデブ三人を座らせたりで、絵面を工夫。元締めナセルが捕まってから話がシフト。買収、刑事二人の証言、護送車内の三人のやりとり(みんなメチャクチャしゃべる)、それぞれの裁判官一人ずつ、死刑になるなら道連れ。家族にいい生活をさせるための自分の悪事。残酷な処罰。この商売に、日本が絡んでくるのでモヤモヤする。優れた犯罪映画は、犯人を描くことで人間が見えてくるという好例。