ごろちん

叫び声のごろちんのレビュー・感想・評価

叫び声(2019年製作の映画)
3.7
豚の擬声語はブヒッ!と可愛らしいが、実際にはブビバッヒ、ンゴゴゴ、ピギャーゴボボとかなりエゲツない。

そんな豚たちの耳をつんざくような鳴き声をずっと聞いていると、何だか悲痛な叫び声にも聞こえてくる。豚たちは何を叫んでいるんだろう。対照的に養豚場で黙々と豚の世話をする一人の男。日々のルーティーンの中で人間らしく喜怒哀楽を感じる機会がほとんどない。「叫び声」を上げているのは豚かそれとも人間か。

この作品は単調でつまらない日常を描いているのだから、つまらないという感想を抱くのは当たり前。じゃ何で観るの?という疑問に対して、個人的には現実を写す鏡を見に行っている感覚に近い。その鏡を覗いて自分の寝癖を直したり、髭の剃り残しを見つけたりしている。

祖母であり出演者の平山ミサオさんは既に亡くなられたそうで、おばあちゃん子だった渡辺紘文監督と弟の雄司さんは当時相当落ち込んだとトークショーで話されていた。子どもたちからも「(監督は)やさしい」と言われるあたり、慕われているようで好感が持てた。
ごろちん

ごろちん