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ラ・ジュテのkitoのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
3.7
モノクロの静止画とナレーション、オープニングの音楽のみで綴られる幻想的なアート作品。

核戦争により荒廃した世界を救うためタイムトラベルに挑む主人公の物語。今では星の数ほどあるSFストーリーだが、1958年制作なのでその表現方法ともどもかなり先進的で斬新だったのだろう。確かに後々テリー・ギリアム監督がカルト的人気作「12モンキーズ」に昇華させたと言われるのもわかる。

こういう静止画での映像表現は例えばヒチコックの「鳥」など普通の映画内のシークエンスでも見かける。何だか夢を映像作品にしたような幻想的な雰囲気で、”フォト・ロマン”とか写真小説などと呼ばれるそうだ。

夢は”記憶のデフラグ(断片化解消)”というくらいだから、滑らかな動画というよりむしろ数枚の静止画の方が近い気もする。

全編でほんの一瞬だけ動きを見せる過去に出会う女性が実に魅力的で、私もきっと”安泰な未来”より、たとえリスクだらけでもあの女性のいる”破滅する過去”に戻ることを選ぶだろう…
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