tacky

はるヲうるひとのtackyのレビュー・感想・評価

はるヲうるひと(2020年製作の映画)
1.5
佐藤二郎監督作品という事で鑑賞した。
原作の舞台は見ていないが、
結論、とても重いし、暗い、汚い。
確かに2020年ごろに「売春島」が少し話題になったのだが、それを題材にしたこの作品の閉塞感たら半端ない。

始終うつむいて泣きまくる山田孝之。
どこを見ているのか、うつろな視線でおかしな事ばかり言う仲里依紗。
この二人のキッチンでのノーカットの演技に、感心するより気分が滅入った。

だが、佐藤二郎演じる哲雄の、恫喝と暴力によって狭い売春宿を支配する様は、気分悪いが、凄いと思った。(島も牛耳る)

日本のみならず世界中で、宗教や仕事場などの少人数の世界を、暴力や言葉で支配する人間が問題になっているが、まさに口出しできない圧倒感を上手く表していて、人はこんなにも、簡単にコントロールされてしまうのだと思った。
でも見所はそこだけか。

向井理は何だったんだ。
環境問題から、ゆする話はどうなった?
坂井真紀のエロシーンは、二度も観せる必要は無い。汚い。
軟膏買えない娘は、何を表しているのか?
「は」が人に見えるとは何?
ラストシーン、その「は」しつこい。
唐突の「わたし、はるヲうるひと。」って言うのはどうしてだ?
わからない事だらけである。

一番最悪なのは、クライマックスの驚愕の事実、自分の最愛の「黒髪」と軽蔑の「茶髪」が結ばれていた事を知った哲雄の、それまでの自分のアイデンティティを覆された、この後の落ち込みを何故描かない?
描けば後味が少しは良くなったはずである。
それを描かずに、取ってつけたような最後のパピーエンドは、無意味だったと思う。
tacky

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