このレビューはネタバレを含みます
MCU作品としては大いに拍手。
ただし映画としてはボチボチ。
というか最早ファンダムの期待に120%応えつつ単体の映画作品としての新鮮さを更新する事は不可能なのかも。何なら作り手も観客もそんなものはもうとっくに求めてないのか。気づくの遅すぎ?
意味と意義とイースターエッグをつなげる事で精一杯というか、そこに「映画的」な余白や余韻が介在する間隙がもう無い。
149分、その殆どが「意味」に費やされるのをひたすら追いかけるのにも流石に疲れてきた。
特にクライマックス前のピーター・パーカーズの会話シーンのファンサービス純度たるや。
好きな歌手とカラオケに行きお気に入りの曲を歌ってもらったらそりゃ誰だって嬉しいだろうがそれはもう表現では無いだろう。
とは言えやっぱり紆余曲折ありながらも積み上げられてきたクモ男達の、その意味の累積を思うと否応なく感極まる場面は当然ある。
アンドリュー・ガーフィールドがMJをキャッチするシーンなんかもう嗚咽…!
半歩遅い気はするがキャンセルとリトライを描く主題についても現代的で的確だと思う。それだけにfixにしろcureにしろ「治療」とか「治す」って表現は何だかなー…!
今回のために過去作を見直したりはしてなかったので「そういやウィレム・デフォーやったな!はっちゃけとる!!」と興奮。
この役者とこの役者が一緒に画面に映ってる!というプリミティブな感動はあるんやけどなー…もう開き直ってそこだけを楽しめばいいのか?
新フェーズの諸作の中ではドラマシリーズ含め1番楽しめたのは確か。でもちょっと追いかけるのがしんどくなってきてるのも事実。
上映後、鼻をすすりながら両の手を打ち鳴らす現実世界の親愛なる隣人達との温度差に感じた寂寞感。一時的なものだと信じたい。