言わずと知れたロシアの文豪ドストエフスキーの原作をアキ・カウリスマキが描いたデビュー作。
キリスト教がベースに大きな流れとなっている原作に比べ、こちらは人間の心にポイントを置いている。
自分の信念に従って行った行為が間違いだったと気づいた時、主人公はどうするのか。
原作では、娼婦のソーニャによって神に導かれ、愛という光を見つける主人公。
しかし、こちらはそれさえも拒絶してリアルな現実感が漂う。
主人公は会いに来た彼女を本当に愛し始めていたからあんな態度に出たのだろう。
監督は「名作を台無しにしてしまった」とどこかで語ったと記憶している。
台無しにしたかどうかは分からないが、これはこれで中々良い作品だと思う。
オープニングから流れる音楽が渋い!
シューベルトのセレナーデをあんなダミ声(笑)で歌われると最高にカッコ良い。
ビリー・ホリデーも良い感じに流れる。
フィンランドが舞台なので、走る車の外にヘルシンキ大聖堂が見えたり、夜のフェリーはスオメンリンナから戻って来たのか?とワクワクしたし、若いマッティ・ペロンパーが見られたのも嬉しい。