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罪と罰のefnのレビュー・感想・評価

罪と罰(1983年製作の映画)
3.5
 カウリスマキの魅力は色使いでそれは女が隣にいて赤いスカーフや帽子を被っている画面ではじめて効果を発揮する。逆に言えば孤独な人間を描こうとすれば自動的にカウリスマキの個性は減衰する。(マッチ工場も孤独の物語だったが、あちらは共感の拒絶でドストエフスキーほど孤高というわけではない。)
 そういうわけでそもそも企画が彼に向いていなかったのだと思う。排水口に流れる血と花瓶の赤はいいけど、それ以降のロッカーの緑や電灯の黄色は如何にも取ってつけたようなもので浮いている。
 赤い花瓶を壊すのではなく、黄色い電灯をしみで汚すなり、庇に引っかき傷をつくればいいのに、と思うが綺麗好きの彼には無理だったのか。カウリスマキの限界がわかる映画。
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