rage30

罪と罰のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

罪と罰(1983年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『罪と罰』の映画化作品。

アキ・カウリスマキのデビュー作との事でしたが、結構カメラが動くし、ユーモアを感じさせる場面も少なく、あまりカウリスマキらしさは感じられず。
題材が題材なだけに、よくある犯罪サスペンス映画になってしまっている印象を受けました。

強いて言えば、食肉処理場から始まったり、音楽で心情を語らせる辺りは、後のカウリスマキ作品に通じるものがあったかな。
また、主人公が孤独な男というのもカウリスマキ的なモチーフではありますが、本作の主人公はミステリアスな犯罪者で、共感を拒むキャラクターになっているのはカウリスマキ作品の中でも異質な主人公と言えるでしょう。

最初から最後まで何を考えているのか分からない主人公ではありましたが、目撃者の女性と何度も会っているのを見ると、単純に寂しかったんですかね?
だったら、素直に最後は愛を伝えれば良いし、あんなニヒルな返答をする必要はないと思うのですが、怒りや虚無をストレートに出してしまう辺りはカウリスマキの青さを感じさせます。

アキ・カウリスマキは一日にして成らず…と言いますか、あの独特なスタイルを確立するまでにもトライ&エラーがあった事を知れて、個人的には興味深く見れました。本人的にも失敗を認めているそうですが、後の成功へと繋がる偉大な失敗作と言えるのかもしれません。
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