ノラネコの呑んで観るシネマ

オフィシャル・シークレットのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.6
イラク戦争直前、国連安保理での多数派工作のため「非常任理事国を脅す材料を探せ」という米国NSAからの命令をマスコミにリークした英国の諜報員の実話。
国民を嘘で戦争に駆り立てる命令は違法。
しかし英国の公務機密法(オフィシャル・シークレット)は、知り得た情報の公表を禁止している。
自分が誠実に使えるべきなのは、選挙で代る政府に対してなのか、国民に対してなのか。
本作の主人公は後者を選び、罪に問われる。
キーラ・ナイトレイが主人公を好演。
最初は義憤に駆られてNSAのメールをリークするのだが、いざとなると恐くなって吐いちゃう。
しかしこの人、夫がクルド人の難民で、自分が逮捕された後に色々政府から嫌がらせされたりしてるうちに、だんだん肝が座ってくる。
真実を巡る個人と権力のせめぎ合いのドラマはスリリングに展開し、見応え十分。
物型のオチも、事実ならではの意外性がある。
やはり権力者は、法をねじ曲げてでも自分を守るんだよなあ。
映画では描かれなかったけど、現実の主人公は英国ではなかなか職に付けず、家族とトルコで暮らしているそうだ。
嘘から始まった戦争の闇は今なおズブズブに深い。
ブログ記事:
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