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セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦のmhのレビュー・感想・評価

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ジャケとかDVD販売会社(アルバトロス)から推測して、B級ミリタリーかと思ったら、ユニバーサルのロゴから始まってびっくりする。
モチーフは「命の道(ラドガ湖を通るレニングラードへの輸送経路)」を通行中の「はしけ752号」が出航して沈没するまで(1941年9月16日-同17日)。
観客側に「はしけ752号」が沈没するという知識は求めてないけど、「レニングラード包囲戦(1941年9月8日–1944年1月27日)」についての知識は求められている気がする。
ドイツ軍による封鎖がはじまったばかりで、まだ食料を分け与える余裕があるんだけど、いっぽうで少しでも多くの市民を脱出させたいという状況が描かれている。
封鎖がこれから2年4ヶ月にも及ぶなど市民はまだ誰も思ってない。(でも観客は知っている)早く脱出しないと、あの飢餓地獄がはじまってしまうんだけどそのあたりの説明はなかった。ラストのスライド一枚で片付ける(母親が餓死)という、スマートな処理をしている。
乗り込もうとした兵士たちが戦闘に駆り出されるくだりも史実を知ってるかどうかで印象違ってきそう。包囲戦が続くということは、勝てないことはすでに決まっていて、そのままグロい戦闘になる。
ヒロインのお父さんが政治犯(だけど、離婚することで妻と娘は事なきをえたこと)だったり、主人公のお父さんが軍のおえらいさんだったり、執拗なNKVDの捜査官だったり、時計を取り上げるいじめみたいなプロットだったりが、絶妙に話に絡んでこない不思議なバランスだった。
結果的に指示に従わないひとばっかりになってしまったのは、普通に作劇上のミスだと思った。
ただクライマックスのアクションもとんでもないハイレベルだった。
ライフルでメッサーシュミットを撃ち落とす→命中!→機体がはしけのマストにあたって墜落→はしけのトドメになる。
ノーランの「ダンケルク」でも見たあの照準器が拝めたりと、眼福な時間が過ごせた。
これだからB級ミリタリー漁りも馬鹿にできないというお手本みたいな映画でした。
面白かった!
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