犬の長い走馬灯。
世界がSFか絵画のように捉えどころの難しいものとして描かれ、その中で9、またはアナ、あるいはサラ、もしくはマロナは人間との関係を続けたり終わらせたりしながら人生を歩んでいく。
3Dと2Dの混じったアニメーションはキャラクターの表情や一つ一つのパーツの動きを鮮明に映し、カリカチュアライズされた一つ一つの事象や概念が人間関係の脆さと儚さ、それらに宿る美しさを表現している。
全編全シーンはマロナの走馬灯なんだけど、現在の人生を構成しているのは過去に他ならないし、マノーレやイシュトヴァンが常に視界に現れるのも犬から見た、というより生き物の主観的な世界で時間が経過することは無いという表現なのだと思う。
エンディングソングを聴いてたら泣けてきた。
人間だろうと動物だろうと、命の価値は同じ。あとは人間がどう搾取を止めるか……。