花火

夏時間の花火のネタバレレビュー・内容・結末

夏時間(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

全編に渡って風通しが良くて、愛らしい素敵さ。夕方と夜、親の実家で過ごす夏休みの、あの居心地いいんだか悪いんだかの微妙な時間。片付いた家の奥に佇むオクジュ、壁にかけられた何かを見ていると画面手前のドアが開いて父親が声をかけ、そして電気を消して家から出ていく。このファーストカットと3つ目のカットに当たる走り出す車を正面から捉えてそのまま後退しながら撮り続ける移動撮影と、この二つだけでこれは信頼できる監督だと確信。2階のベランダで洗濯物を干しながら「彼氏いるでしょ」「若いうちに色んな男と付き合って見る目を養わなきゃ」と会話するオクジュと叔母の親密な雰囲気、そしてその後に弟によって階下の庭からホースで上に向かって撒かれた水の写る画面奥。あるいは彼氏から靴を奪い取って走り去るオクジュの、夕暮れの緩やかな坂道を下る自転車のカット。舞台にした家に元からあったという階段のドアを演出に組み込む柔軟さも見事。
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