Inagaquilala

ジェントルメンのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ジェントルメン(2019年製作の映画)
4.1
「キングスマン」シリーズの第3弾「ファースト・エージェント」の公開が、またまた(もう何回目だ)延期されて今年の12月になったが、その代わりと言ってはなんだが、この「ジェントルメン」が最高に面白いかも。ガイ・リッチー監督のクライム・サスペンス作品だが、物語の入り方が洒落ている。ネタを掴んだヒュー・グラント扮する私立探偵が、大麻ビジネスで資産を築いた男の片腕を強請るところから始まるのだ。私立探偵が、自ら仕入れたネタを少しずつ明かしながら、物語の輪郭が浮かび上がっていくという仕掛けだ。このやり取りが、すでにスリリングで、あっという間に、引退を決意した大麻王の裏事情が浮かび上がる。

原題も「The Gentlemen」で、複数形に定冠詞がついているので、ガイ・リッチー監督は群像劇を狙っていると思われるのだが、複雑に絡む各犯罪集団の思惑と入り乱れる人間関係が、私立探偵の「強請り」から明らかになっていくという巧みな形式だ。後半過ぎから、この語り口は解き放たれて、「ジェントルメン」たち(複数形の複数はおかしいか)の、莫大な利権をめぐる争奪戦が繰り広げられる。もちろん、いろいろな仕掛けがあり、最後まで気は抜けないが、なかなかのカタルシスが得られることは請け合いだ。それにしても天才的な頭脳を持つ大麻王を演じるマシュー・マコノヒーがこの作品でも安定した堂々たる演技を見せている。他にもコリン・ファレルやチャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、などが顔を揃えて、「ジェントルメン」を演じる。
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