故ラチェットスタンク

ジェントルメンの故ラチェットスタンクのネタバレレビュー・内容・結末

ジェントルメン(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

イカした劇画チックな演出や展開と同時にそれを俯瞰するシニカルな要素も多く兼ね備えている。

・厨房から1人ずつ熟練の老兵が出てきて若者たちと一触即発のムード→次のシーンでは老兵たちが一方的にボコられてる
・英国紳士的に会話で場を収めようとする→交渉決裂して銃で脅す
・トランクの中でタランティーノ的拷問→逃げられた上にそいつが線路に転落、電車に轢かれ死亡
・ロシアの暗殺者2人が侵入してきて大ピンチ!→コーチがあっさり倒す。

(あと、知的アクションと暴力的アクションを交互に描いているようにも感じた)

劇的映画への尊敬と皮肉がひとつの場面に共存しててそこがとことん魅力的
特に生産性のない展開の多いことこの上ない。初期のタランティーノ的な「人生の馬鹿馬鹿しさ」を描いているように感じました。

現実を脚色したフィクション
群像劇の劇中劇
時系列シャッフル
劇中劇を語る現実
理解が難しくなる作品の構成を4つも掛け持ちしていながら、それをスマートに語ってしまえる手腕に脱帽

作品の問題点としては映像に高級感や引き締まった印象が欠けていることでしょうか。
普通につまんないショットもあったし、セットっぽく感じた部分もあった。
そこも含めて計算してあると言われればそうですが少なくとも好みではなかったです。

前半は話の流れが掴めずやや退屈するものの中盤で掴んで話が転がっていくともう止まらない。

いやらしくないポップソングの多用
英国的ブラックユーモア
ギャングジャンルとしての面白さ
騙し合いのスマートな展開
あらゆる厨二病向け要素を特濃で観客へお贈りする113分
最高です。

全編通して得るものなし!
無駄の極み。
さあ、時間をドブに捨てろ!