シンタロー

…YOU…のシンタローのレビュー・感想・評価

…YOU…(1970年製作の映画)
3.7
学生運動、闘争下の青春を描いた作品。「いちご白書」に比べると知名度では劣るもののなかなかの力作で、この邦題は大失敗。元は反体制派のリーダーだったハリー。教員免許を取るために6年ぶりに復学する…にしても老け過ぎだろ!そのヒゲもなんなんだ!授業料も家賃も払えず、乗ってる車はパーツ剥き出し、窓も閉まらない廃車…要するに金欠で、恋人ジャンや親友ニックの家を転々としてる。ジャンとケンカする度に他の女とセックスしたり、試験の替玉をニックに頼んだり…なのに頭は良いもんだから口が達者で相手を論破しまくる…うーん、クソ野郎!6年間に何かがあったのは明白で、学生だからやりたい放題やってる、外の世界はそうはいかない…葛藤しつつ、ジャンやニック、教授や生徒達との関係の中で辿り着くところは…。
演者の熱演が光るジャンとの激しい口論は見応えたっぷり。「マネキンを人間にしてやろうとしてるのに」「カタツムリみたいな忠誠心だな」シニカルな台詞回しの数々が素晴らしい。出てくる度に容姿が激変するぶっ飛んだキャラ、ニックとのやりとりは笑える。エリオット・グールドは、少々やり過ぎ感があるものの、全編大熱演でセリフ量ハンパない。特に口頭試験のシーンは圧倒されました。キャンディス・バーゲンは、周囲が言うほどの美人女優とは、失礼ながら思わないのですが、70年代を牽引しただけのことはある演技力で、終盤「助けてハリー」のシーンは名演技でした。気になったのは、この作品真夏の撮影なの?ってくらい、グールドの大量の汗とバーゲンの日焼けが…暑そう。全体的にやや長過ぎるのと、登場人物に感情移入しにくい感じはありましたが、ラスト学生大乱闘なカオスでの二人の芝居には胸が熱くなりました。
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