キノ

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のキノのレビュー・感想・評価

4.5
逃げないエルザの高倉建こと煉獄杏寿郎 (後述) のエピソードで星4.5. 減点は「ギャグと泣かせ」.

#以下ネタバレ
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#キメちゃった修造説も・・・

煉獄さんの描写が上手で, 最初は「アニマル浜口のサイコ版」にして感情移入を阻止し, 途中夢幻の過去シーンで「気丈な長男」という内面を描いて,最後は母子の笑顔で観客を一気に感情移入させる. 親の『良い子』を目指し, 下の子を引っ張る自己犠牲は, 大ヒットの「アナ雪」と同じ. さらに夢を叶えるより義務を果たすという死に様は, 昭和日本的な「鉄道員 (ぽっぽや) 」 と同じ.

よって, 煉獄さんは、逃げないエルザの高倉建. そりゃ老若男女に受ける.

加えて, 炭次郎は「煉獄さんは負けてない」と叫ぶけど, 敗北は事実. それでも勝たせたい観客は自動的に模索し, その答え「後継者が勝つ事」にたどり着き, 映画 OP のお館様の言葉を思い出す. だからこそ OP の背景描写は炭次郎の深層心理以上に美しく, 煉獄さんのために魂込めて描いたと思う. 全て台詞で語る本作では, OPは突出して映画的.

が, 炭次郎以外の二人が泣く理由が弱い. カラス泣かせる前に物語るべき. あと下弦の壱の救済が最後の母出現に繋がるべきだった. これは惜しい.

自分の欲した「何か」が得られぬ時, 何もが無限に得られる夢に逃げ込めば夢幻. 本作テーマの「人間の強さ」とは, 叶わぬ「何か」を他人に与える事で欲望を昇華させる事と思う. そこに上弦ではなく下弦の壱こそが至って欲しかった.

煉獄さんの欲した「何か」は, 父からの言葉.「成長しろ」とか「信じる」とかの遺言は, 本当は煉獄さん自身が欲した言葉(と思うと泣ける). それらを, 最後, 炭次郎に与えた. それこそが「後継者につなぐ (絆ぐ) 」事で, 柱最後の責務. それをまっとうしたから立派で、美しい
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