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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のkochabのレビュー・感想・評価

4.0
シリーズそのものは原作も読んでいないアニメファンでして。シナリオ面や各キャラクターについての話はここではカットいたします。

で、私なりの作品に対する考察を一つ。

それは「死は死である」という世界観、というかルールが今までの少年誌原作としては珍しい部類ではないかな、と思います。

筆者がよく読んだ少年誌でも本作「鬼滅の刃」でも「強い先駆者(先輩)」という人達は数多く出てきます。時に敵であったものが味方になったり。作品で言うなら70年代の宇宙戦艦ヤマト然り、80~90年代のキン肉マン、聖闘士星矢(黄金聖闘士などはまさにそれ)や男塾であったり、と。確かに「ここは俺に任せて先に行け」系の話も多数あります。しかし今までであれば味方の先輩方はそれでもどこかで「復活」を遂げたものです。それがあるからこそある意味「死んでないでしょ?」と心の隅で安心感に変わっていたと思います。

翻って本作。「死は死である」事をハッキリとさせています。私が学生の頃小説を書く授業がありましたが、先生に「人(キャラクター)を殺す(死す)事を書いてもいいか?」と聞いた生徒がおりましたが、その返事は「そこに意味を持たせるなら書いてもいい」と。
今回の「死」もまさにそれに当たります。他作なら人気があるキャラクターを失うのは痛いでしょうが、この鬼滅ではそこで終わり。これを子ども達が観たらやはり「死は死である」という感覚をしっかり学び取ることにもなるのかな~、と映画館に居ながらにして思ってしましました。

キャラクターで作品を動かすよりも潔さを活かす本作なんだな~、と改めて思いました。
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