ロビン

ブータン 山の教室のロビンのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
4.0
アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作品であり、ブータン映画人生初鑑賞。
美しい情景とノスタルジックさが漂って沁みまくる映像でなんだか自然と涙が出てくる。
とにかく心が浄化されるような素敵な作品だった。

そしてブータンと言えばかつて「世界幸福度ランキング」1位で“世界一幸せな国”として知られていたけれど、最近ではかなり下がってしまっているらしい。
たぶんネット等での情報が流入しちゃって、他国との比較ができるようになったことで隣の芝生が青く見えるようになっちゃったからだね。 
ちなみに日本の幸福度もかなり低い。。

ミュージシャンを夢見る若い教師ウゲンは、電気もガスもトイレットペーパーも無いようなブータンで最も僻地にあるルナナ村(人口56人富士山よりも1000mぐらい標高が高い標高4800m )の学校へ赴任するよう言い渡される。
このウゲン役の俳優なんか見たことある顔だなと思ったら香川真司にソックリ〜笑

僻地の学校に嫌々行って、最初はすぐ帰りたいと思っていたけれど、その土地の人々の優しさや文化に触れて感化されちゃう話は良くあるけれど、ルナナの村人(村人役の人々は実際の村人)は本当に優しく素朴で純粋で心が洗われる思いだった。
特に、ペムザムというクラス委員の女の子がとっても愛くるしい。
彼女の「将来先生になりたいのは先生は未来に触れることができるから」ていうセリフが素敵!
彼女は実際にルナナ村で暮らす少女で、ルナナ村を出たこともなく演技の経験は勿論、映画を観た経験すらないらしい。
なのに愛くるしい見事な演技を観せてくれた。
そして学校で勉強する他の子供達もみんな目がキラッキラしていたのが、とっても印象的。
何不自由なく勉強できてきた環境って当たり前じゃなくて、とっても有り難いことだったんだなと改めて思う。

劇中の村人の台詞「雪山は雪の獅子の住処です、年々雪が減っている、雪の獅子は家を失ってしまう、この世界から消えてしまいそうで心配です」が刺さった。
地球温暖化がこんな場所にも影響を与えてしまっているんだね。。

村長のウゲンへの台詞「世界で一番幸せな国と呼ばれている、それなのに先生のように国の未来を担う人が幸せを求めて外国に行くんですね」はちょっと皮肉めいた感じがした。
都会で暮らすウゲンにとってはもはやブータンは“世界で一番幸せな国”ではなく、ネットもテレビも何にもない村で暮らす村長にとってはまだブータンは“世界で一番幸せな国”なんだなと。。

【ネタバレ】
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最後ウゲンがシドニー(人口513万1326人標高19mでルナナ村との対比が凄い)に行って終わるけど、再びルナナ村に戻ることなく終わったのは現実的で良かった。
シドニーのBARで歌う“ヤクに捧げる歌”が沁みる。
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