rage30

戦争と女の顔のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

戦争と女の顔(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

友人の子供を死なせてしまう女性の話。

映画の冒頭、主人公イーヤの気絶から始まるのにも驚かされたが、その後もちょくちょく意外な展開が挟まる。
イーヤの育ててる子供が他人の子供だったり、子供を気絶によって死なせてしまったり、子供の母親が戦友だったり。
結局、イーヤは死んだ子供の代わりに、新たに子供を産む事を強要されるのだけど、思わぬ展開の連続には引き込まれるものがあった。

ただ、後半になると子供を産む件が後景化していき、イーヤと戦友の情念の様な話が前景化してくる。
最終的にイーヤと戦友が結ばれ、子供を産む件が有耶無耶になってしまうのは物足りないところ。
前半が良かっただけに、後半は失速してしまった印象は否めない。

全体的に話がゆっくりと進む事に加え、解説を聞かないと、これが個人に起こった話に聞こえてしまうのも残念。
「女性は子供を産めば回復すると言われてた」とか、「戦場に行った女性兵士は戦後差別を受けた」という話を聞くと、なるほどな…と思うのだが、それを知らないと、単に気の毒な女性兵士の話で終わってしまうのではないだろうか。

『戦争は女の顔をしていない』という本を原案にしているそうだが、本で描かれた女性全体の問題を一個人に集約した事が本作の面白さであり、同時に弊害にもなっている。
せめて、主人公だけでなく、もっと複数の女性兵士の視点があれば、話に奥行きや広がりを感じられたと思うのだが。
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