すずき

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇のすずきのレビュー・感想・評価

3.2
人里離れた森のそばに住むガードナー一家。
主人のネイサンは元ヒッピーで、自然に囲まれた暮らしを望んでいた。
ガンの手術を終えて半年の妻テレサ、
オカルトに凝っている長女のラヴィニア、
隠れてハッパを吸っている長男ベニー、
そして末っ子のまだ幼いジャックに囲まれ、ささやかな幸せを満喫していた。
しかしある日、不可思議な光と共に、庭に隕石が落下する。
それ以降、一家は不可解な現象に悩まされるようになる。
やがて少しずつ、彼らの環境に恐ろしい変化が訪れ…

H・P・ラヴクラフトの「宇宙からの色」を原作にしたニコラス・ケイジ主演映画。
原作は未読だけど、舞台を現代にしたり、結構手が加えられてるようね。
幸せな一家が精神的にも肉体的にもボロボロになっていき、やがてニコラス・ケイジはマッドダディに変貌!
B級なので映像は安っぽい所もあるけれど、あんまり期待してなかった所為か、思ってたよりは案外楽しめた。
なんか一家が理不尽に崩壊して、ニコラス・ケイジのキレ演技が見たいなぁ、って時にピッタリの映画。

怪異の原因である隕石の正体は全く不明。
その目的も、最終的に危機は去ったのかも分からない。
宇宙には人間の想像を絶する、人知の及ばない領域が存在する…、という事だけが分かる、まさしくコズミック・ホラー。
ただ、やっぱり「想像を絶するモノ」を映像化・視覚化しちゃうとしょっぱい。
「地球上には存在しない色」も視覚化しちゃうと「マゼンタじゃん!」とツッコめてしまう。どうしようもない事だけど。
しかしその問題は、原作者ラブクラフトの作品自体にもある。例えばクトゥルフの姿形の描写。
一目見たら気が狂う程の異形の姿のはずが、それを文章で描写しようとすると、「タコのような頭にコウモリの羽」の、人間の想像の範囲を超えないモンスターになってしまう。
想像出来ないほどのモノ、は描写しないに限るのかな。
コズミック・ホラーとは全然関係ないけど、ロバート・エガース監督の「ライトハウス」の灯台の「中身」がまさしくそれだった。