Inagaquilala

映像研には手を出すな!のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)
3.9
監督の英勉はアイドル映画の鬼才だと思う。CMディレクターを経て、2008年に「ハンサム★スーツ」でデビューして以来、いろいろ制約も多いであろう、アイドルをキャステイングした作品で、見事な「英流」を貫いている。15年、コミック原作で桐谷美玲が主演した「ヒロイン失格」(2015年)も見事な出来だったし、土屋太鳳が主演した「トリガール!」(2017年)の軽快な演出は、とことんエンタメに徹していて、完成度も高かった。オリジナルストーリーで描いた「映画 賭ケグルイ」も異色の秀作だった。

その英監督が、「乃木坂46」の齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波の出演を得てつくられたのが、この破天荒な学園ドラマ「映像研には手を出すな!」だ。原作はコミックで、アニメ化もされているが、英監督は、しっかりと自分流をこの作品でも貫いている。この作品で気づいたのは、英監督のキャスティングの上手さであり、たぶんその出演者の生かし方を心得た演出だと思う。もちろん映像は、CMの出身らしく歯切れ良く、ビジュアルにも優れているが、出演者の生かし方を何より術中のものにしていることだ。特にちょっとツンデレタイプの金森氏を演じる梅澤美波の存在感が光った。このところ「前田建設ファンタジー営業部」、「ぐらんぶる」、「妖怪人間ベラ」と監督作が相次ぐ、英勉に今後も期待したい。
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