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私の知らないわたしの素顔のpenguinwhipperのレビュー・感想・評価

私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)
3.6
『サイコロジカルサスペンス』と銘打つだけあるなって思った作品だった。

主人公は年下元彼の気を引きたくて始めたSNSで別人に成りすまし、そこで恋に溺れる。
年齢も名前も偽って登録して別人として振る舞うことに楽しさと自由を感じる主人公。

って書くと割と現実でもありがちに思える内容なんだけど、巧みに張り巡らされた伏線が
とてつもなくゾゾゾっとするエンディングへ引っ張っていく。フレンチムービーによく感じるいい加減さ(褒めてる)をしっかりストーリーに落とし込みながらも主人公のキャラクター設定がメーター振り切ってるのでもうこれはストーカーなのかメンタルがおかしな人なのか、それとも出てくる全員がそれぞれちょっとおかしいのかわからなくなった。
だって、怖い…人って怖いよ!って最後に真剣に思ったもの。

・主演のジュリエットビノシュが魅せる表情が本当にキラキラしてるシーンと、年相応と思わせるためのくたびれた表情の使い分けが実に巧み。そして美しいなって思わせる。すごい。
『見捨てられたくないの!』って言うジュリエットビノシュの表情が印象に残る。
・いやそこで昔のiPhone持ち出して使い始めるのってどうよ。
・このご時世にテレフォン◯◯◯は珍しいけどそれはきっとフランスだから(と思いたい)
・主人公の寂しさや孤独、そして人に求められたいという気持ちがストーリーの主軸を埋めているので、きっとその辺りがグッサリとメンタルに刺さってしまう人がそれなりにいるのではないかと思われ。この辺りは本当にこの映画の中でうまく煽ってくるポイントだと思う。
・「真実はひとつではない」という劇中の台詞がとても印象的。この映画のストーリーそのものだし、人という生き物の正体はまさに真実はひとつではないと思うから。




この映画、歳上の女性と歳下の男性の設定でストーリーが展開していき、その年齢がストーリーの中でひとつの重要なポイントになってる映画なんだけどね…(年齢、若い容姿とかがキーポイント、この2つの要素が他人から注視される為に必要なものって主人公が認識している)、
これって設定を逆にして
歳上の男性と歳下の女性の設定にしたストーリーだったら、みんなどんな風に感じるんだろう…
って帰り道にすごく考えた。ちょっとそのあたりがモヤモヤする。
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