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グンダーマン 優しき裏切り者の歌のMaoryu002のレビュー・感想・評価

3.0
東ドイツ時代、炭坑で働くゲアハルト・グンダーマン(アレクサンダー・シェーア)は音楽活動のために秘密警察に協力していた。やがて1990年の東西ドイツ統一後、彼は仲間同士が監視し合っていた実態を知り、国と自分の過去を振り返って苦悩する。

東西ベルリンとシュタージの話ということで、「善き人のためのソナタ」を思い出して、やはりスリラー色が強いものかと思ったが、こちらはより個人的で恋愛や友情に焦点を当てた内容だった。

そして、歌詞がかなり直接的に気持ちを語っていて、グンダーマンの愛や葛藤が分かりやすく表現されてた。

スパイ活動する前のグンダーマンは、ごくありふれた希望と不満を抱えていたように見えたけど、東ドイツという特殊な環境の中で権力に利用され、人間のあさましく弱い部分が表に出てしまったんだろう。

ドキュメンタリーっぽく彼の半生を追う構成だけに、イベントが多くて慌しく、娯楽性や感動はあまりなかったかな。
彼の告白を受けた人々が割とあっさり受け入れるあたり、当時のスパイ活動が非常に身近だったことがうかがえるし、何もしなかった人たちにも後ろめたさがあったように想像した。
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